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トップページ > 推薦図書 > 鷗外の子供たち(ちくま文庫)【保護者用】
家庭や学校が子供たちにとっての、安心できる「心の基地」になってほしい。戻る場所がなく漂流する子供たちもいる。それは、子どもだけでなく、大人にも言える傾向なのかもしれない。
森類さんは、父親である森鴎外の「人間はなんでもない景色を見て楽しむことを知らなければいけない」という考えを『鴎外の子供たち』(ちくま文庫)で紹介している。
鴎外は、子どもの類さんといっしょに、平凡な場所でもじっと眺めていたという。 鴎外は、子供たちに添っていた。
なんでもないことにも、子供のように、楽しみや喜びを感じる。そのような、〈眼差しの優しさと柔らかさ〉が大事なのであろう。その眼差しを大人の私たちが持っていれば、子供たちは安心して家庭や学校を「心の基地」にできるのだろう。
江戸末期の歌人・国学者である橘曙覧(たちばな あけみ)も、鴎外と同じように、なんでもないものに楽しみを感じることのできる、知足の人だった。
2歳で母と死別。15歳で父を失う。独学で歌人としての精進を続けた。彼の歌を編纂したものに、「独楽吟」52首がある。すべて、「たのしみは」で始まり、「とき」で終わる。正岡子規は「源実朝以来、歌人の名に値するものは橘曙覧ただ一人」と評価している。
「たのしみは三人の児どもすくすくと大きくなれる姿みる時」
「たのしみは朝おきいでゝ昨日まで無(なか)りし花の咲ける見る時」
「たのしみは心をおかぬ友どちと笑ひかたりて腹をよるとき」
「たのしみはまれに魚煮て児等皆がうましうましといひて食ふ時」