関東地区私立小学校連合会とは、神奈川31校、千葉9校、
埼玉4校、茨城4校、栃木1校、群馬1校、静岡4校、長野1校の
私立小学校全55校が加盟している団体です。
小説家・山本有三(1887~1974)の戯曲に『米百俵』という作品がある。「教育」の原点を考える上で、忘れられない作品である。
戊辰戦争の後、窮乏のどん底にある長岡藩。そこに見舞の米百俵が届く。その配分を待つ藩士に対し「米を売り学校を作る」という通達が届く。大参事小林虎三郎(1828~1877)は「百俵の米も、食えばたちまちなくなるが、教育にあてれば明日の一万、百万俵になる」と話す。そして、長岡の坂の上町に、明治三年六月、粗末な学校を建てる。それまでは、昌福寺という禅寺での授業。やがて、それが長岡洋学校、長岡中学、長岡高校へと続く。
この本には書かれていないが、明治の哲学者、井上円了(1858~1919)は長岡洋学校で学び、東京大学に進む。そして、明治二十年本郷の麟祥院という禅寺で「哲学館」を出発させた。それが後の東洋大学となる。小林虎三郎の精神は、受け継がれていく。
小林虎三郎は佐久間象山門下で、吉田松陰(虎三郎)と並び称されるほど優秀で「ニ虎」とばれていた。
目先のことにとらわれてばかりいないで、今の傷みに耐えてこそ明日がある。それが小林虎三郎の考え方である。
山本有三は、日頃から「人間を作ることより大切な事はない」と考えていた。小林虎三郎の考えに強く共鳴して、この「米百俵」が書かれた。つまり、学校が生まれる理由は、「明日のために人間を作る」ことにあると。